浜田和幸を研究する会

浜田和幸はカジノを楽観視していない [浜田和幸の提言]

投稿日時:2018/08/03(金) 10:09

浜田和幸の意見は、「カジノで外国人観光客を日本に呼び込む」という政府の発想は時代遅れもはなはだしい。

去る7月20日、参議院本会議で可決、成立したいわゆる「カジノ法案」(統合型リゾート実施法)であるが、カジノを取り巻く国際情勢を無視しており、現状では失敗が避けられないだろう。

アジア地域でカジノが繁盛していたのはマカオ、シンガポール、カンボジアが御三家。

しかし、カンボジア以外はいずこも集客が減り、収益も急落している。

その最大の理由は中国人ギャンブラーの減少である。

実は、マカオやシンガポールのカジノで大枚を投じていたのは中国の党や政府の幹部たちであった。

その実態は資金洗浄であり、事前に胴元とすり合わせをしており、裏金を渡した上で、「勝った、負けた」の振りをしながら、最終的に利益を懐に入れて帰国する仕掛け。

個人マネーではなく公金であるため、1回の掛け金も100万円や200万円は当たり前。

そうした洗浄資金ありきのカジノブームであった。

ところが、習近平国家主席が綱紀粛正を掲げ、幹部の腐敗を徹底的に取り締まるようになったため、カジノを訪れる公金持参の中国人は激減。

その結果、マカオもシンガポールもカジノは閑古鳥が鳴く有様。

もちろん、少額の掛け金でスロットマシーンやルーレットを楽しむ個人客はいるが、投じられるお金は微々たるもの。

本家のアメリカやフランスでもカジノは倒産が相次いでいる。

そんな中、ベトナム、マレーシア、韓国でもカジノが林立したが、実際は儲かっていない。

唯一、気を吐いているのがカンボジアである。

7月29日の国政選挙でフン・セン首相率いる与党が全議席を獲得するという大勝利。

まさに、胴元が勝つように仕組まれた選挙であった。

30年にわたって独裁体制を維持してきたフン・セン首相のお気に入りがカジノである。

中国からの膨大なインフラ投資資金が流入したお陰で、カンボジアのカジノは大繁盛。

日本政府にように「入場料を6000円徴収し、入場回数も週3回に制限し、収益の30%を国庫に納めさせる」というような無粋なことはしていない。

国会では「依存症対策が懸念される」といった意見も出されたが、日本人のギャンブル好みは激減しており、パチンコも競艇も最盛期の1割程度の売り上げだ。

カジノ経営をめぐる厳しい環境を無視し、勝手な思い込みで「国内3か所のカジノを2020年代の前半に開設する」とのたまう日本政府の対応では大やけどをすることは火を見るより明らか。

浜田和幸の調査では、利にさとい日本のゲーム会社も建設会社も腰が引けている。


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